厚生労働省の薬事認可を受けた歯科材料の一つとして、「弾性樹脂」、いわゆる「ノンクラスプデンチャー」といわれるバネ・カギ(クラスプ)なしの弾性樹脂義歯が、一般の歯科医院でも、約2年前より薬事の認可がおりたので、かなり普及してまいりました。
認可以前には、日本国内では未承認材料であったので、海外の製品を歯科医師の裁量で、個人の歯科医師の責任のもとで、使用されておりました。通常、歯がなくなった箇所に、入れ歯を入れる際、保険、自費で材料の違いがあっても、クラスプといわれるバネ、カギもしくは、残された歯に被せものと入れ歯を組み合わせる等、入れ歯をささえるための維持装置が必要でした。入れ歯が受け入れられない患者さんにとっては、現在は「インプラント」の材料、技術が急速に進歩してまいりましたので、入れ歯が最終的な治療法ではなくなっておりますが、当然自費診療の為、経済的な面からも断念ぜざるを得ない患者さんもおられると思います。
従来の材料を使ったレジン床といわれる義歯と比べて、有利な点は、まずはバネ、カギがないので、外観が入れ歯であると目立たないところです。歯のなくなった本数が少ないケースの入れ歯では、かなり成功率は高く、患者さんにも喜んでいただけることが多いと考えます。ただし万能ではなく、歯のなくなった本数が多いケース等、この弾性樹脂の材料でも不向きなこともあり、従来型の入れ歯の方がよい場合もあり、使い分けが必要です。
後は、残された歯にむし歯等がなく、まったくの健全歯の場合には、ほとんど歯を削ることなく、入れ歯が入れることが可能です。
現在約3種類の材料が薬事認可を取得しており、以前は、この弾性樹脂の入れ歯は、適合が悪くなった場合は、預からないと、修理が、診療室内では出来ませんでしたし、経年変化で変色、着色等も目立ちましたが、現在の製品ではかなり改良されてきており、診療室内にある材料でも、簡単な修正・修理なら可能となっております。
製品によって、この入れ歯の硬さ、柔らかさ等が微妙に違いがございます。
だだ、残念ながらこの材料の保険適用はなく自費診療となります。
入れ歯がどうしても受け入れられない患者さんは、この弾性樹脂の入れ歯もしょせんは入れ歯ですので、インプラントや残された歯を削って、固定して入れるブリッジを考えなくてはなりませんが、この弾性樹脂の入れ歯ががますます普及して、少しでも救われる患者さんが増えることを願っております。